どうもカゲロウです。
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上の記事を書いた時、そのおわりで少しバトル・ロワイアルについて触れましたが、ふとこの漫画のレビューって海外ではどんな感じなんだろ?と思い調べたところ、結構読み応えのあるレビューがあったので今日はこちらを紹介したいと思います。
本当は上の記事を書いた次の日にでも載せたかったのですが、長文読解に手間取ってしまい、ここまで時間がかかってしまいました(笑)。
また、長文だとブログ主の英語力の問題で、意訳、超訳だけでなく、わからない部分は大きくカットしてますがご了承ください。
文章の流れだけは損ないように気をつけています。
※当然ですがネタバレ注意です

参照元:https://goo.gl/EfTpsX
レビュアー 1人目(国:イングランド 性別:男性) 9/10点
この漫画における心理戦、肉弾戦、銃撃戦、そしてスリラーを見れば、あなたが想像できる最高峰の興奮を得られるのは間違いない。でも、これを見るなら18歳以上になっていなければならないと警告しておく。
バトル・ロワイアルの基本的なテーマは「適者生存」である。そこでは子どもたちが互いに戦わなければならない。要するに「最後に立っていたやつが勝ち」というゲームである。
この面白そうなテーマは、今まで見たこともないような強烈なストーリーを生み出し様々な感情を呼びおこす。そして、(ただ単に設定が奇抜で恐ろしいというだけでなく)ストーリーがとてもしっかりとしていて緻密なことに驚かされる。
問題は、(ルールがルールなので)基本的にみんな同じように死んでしまうことから、あまり登場人物に愛着がわかないことである。しかしながら、何人かは愛さずにはいられなくなるぐらい良く出来たキャラクターもいる。
この漫画の画風に関して言うと、気持ちが悪くなるぐらい流血と暴力があふれるこのストーリーに完璧にあったものであるといえる。なぜならこの漫画はやりすぎなことで有名なことがその1つの理由として挙げられる。
その暴力シーンは多くの読者には受け入れがたいものに感じるかもしれない。一方、私の場合、彼らが15、6歳の学生という設定であるにも関わらず、その学生には見えない見た目が受け入れがたいところであった。
バトル・ロワイアルは、読者を常に緊張状態におくエキサイティングで胸が張り裂けそうな展開が連続するすごい漫画である。この漫画は全15巻だが、その間とくに中だるみすることなく綺麗にまとまっていてとても面白い。しかしながらTOKYOPOPバージョンでは酷い翻訳のせいで作品が少しだけ酷い出来になった。バトル・ロワイアルは読者に悲しみや失望など様々な感情を抱かせる。「GANTZ」とは全然似ていない漫画である(注:なぜここでGANTZの名前が急に出てきたのかはわかりません)。
バトル・ロワイアルは、そのストーリーの進行に常に絶望がまとわりつき、ストーリーを重苦しいものにしている。
この憂鬱なストーリーは読者から楽しさをも奪い去ってしまうと同時に、ショッキングな出来事や続きが気になる展開が頻発することで、やめるきっかけを失い読み続けてもしまう。
TOKYOPOPとは、以前Mixxという名前で知られていた漫画の出版権を獲得して他言語に翻訳、供給している会社である。現在東京に本社があるものの、支部はTOKYOPOPの最大のオフィスであるアメリカ西海岸・カリフォルニア州の都市であるロサンゼルス、そしてイギリス、ドイツに存在している。(wiki)
レビュアー 2人目(国:不明 性別:男性) 9/10点
数年前(注:投稿時2008年)とても酷い出来の「バトル・ロワイアル」と言われる映画を見た。そして、友人とこの映画について語り合っていたとき、その友人から「もし君がこの映画をそんなにも嫌いつつも、そのコンセプト自体は好きだというなら、原作を読んでみれば?」と言われ私はショックを受けた。この映画が小説を原作にしたものだとは今まで考えもしなかったからである。結局、小説のほうが手に入れられなかったので、漫画版を買うことに決めた。
漫画版の第一巻を見てまずその画風に驚き、そして、じっくりと漫画のコマを見つめそこで何が起きているのかを観察した結果、私はこの漫画を自分のお気入り漫画のひとつに加えることに決めた。
第一巻はメインの登場人物の紹介と彼らがどういう生徒でどういう特色をもった生徒なのかを紹介している。他の多くの漫画とは違い、メインの登場人物だけでなく、それ以外の脇役的な生徒たちもまさに現実にいるかのように生き生きと描写してあり、この漫画における悪役にさえシンパシーを感じてしまうこともある。
この画風はあらゆる部分を緻密に描いている。それ故に残酷な場面では、臆病な人にとっては敬遠したくなるようなシーンも多い。個人的にだが、もしかしたらこの美しいまでに緻密に描かれた画風はそれ故にバトル・ロワイアルの隠れた欠点にもなっているかもしれない。時にこの漫画のコマはやりすぎなほどきめ細かく状況を描写するため長く見続けていると吐き気を催すこともあったりする。
もし、残酷なシーン、暴力シーン、またセクシーな悪役、ストーリー全体に漂う絶望感そんなものが好きだと言うなら、このバトル・ロワイアルをおいて他にお勧めできる漫画はないといえる。
レビュアー 3人目(国:不明 性別:女性) 10/10点
「殺すか殺されるか。これがこのクソッタレなゲームの仕組みである。」
東京喰種より暴力的で、(進撃の巨人の)エレンの母親が巨人に食べられるところよりも多くの感情の起伏を与えてくれる漫画が読みたいなら、紳士淑女の皆さん「バトル・ロワイアル」を読むしかない。
原作のストーリーはすごく惨たらしいもので、簡単に言うと古代ローマにおける奴隷同士の戦いのようなことを政府が中学生を孤島に集めてやらせるという話である。
ひとつだけ確かなことがあるとすれば、人間が生き延びるために必要な信頼、裏切り、愛、狂気、暴力、不安、絶望、そして最も重要である希望がこの信じられないほど素晴らしい漫画全15巻に詰め込まれているということである。そしてそれは映画版とはとても比較にできないほどだ。
かつて映画「バトル・ロワイアル」を見た人の多くは、どうしてこんなクソ映画を”後継”の「ハンガー・ゲーム」よりも評価しているのかと不満を漏らしていたのを知っている・・・・そういう人たちは漫画または映画「バトル・ロワイアル」の基になった原作の小説を読んでいないのでしょう。今、私にはわかる。あれは映画がただ酷い出来だったのだ。
バトル・ロワイアルはとても非現実的な話でありながら、その流血などの表現は現実的に描写される。そして、時に(非現実的な話でありながら)我々の住む現実世界にも同様にあるかのようなリアルな恐怖が感じられるのである。
『ハンガー・ゲーム』(英: The Hunger Games)は、2012年に公開されたアメリカ合衆国のアクション映画。スーザン・コリンズのシリーズ小説『ハンガー・ゲーム』を原作としている。監督はゲイリー・ロス。この記事とネタが被っている記事がないか調べるために翻訳前に「バトル・ロワイアル 海外の反応」で検索したところ、バトル・ロワイアルとハンガー・ゲームのパクリ論争に言及する記事がヒットしたので当時はかなり盛り上がったようですね。全然知らなかった。
パネムという名の独裁国家と化した近未来アメリカではキャピトルが政治の中心であり、キャピトル市民は貴族的特権を得ている。反乱の抑止を目的にキャピトルを囲む12の各地区から12歳から18歳までの男女1名ずつが選出され、男女24人が殺し合う殺人サバイバル「ハンガー・ゲーム」が強制されていた。(wiki)
毎年中学三年生のクラスからランダムで抽選され、この死のゲーム(「バトル・ロワイアル」)に参加させられることになる。それは法律で明確に決まっており、これが日本中で放送されることになる(注:放送されたっけ?)。
今までこのようなストーリーを聞いたことがある?ないだろう?そう、これこそが「Hunger Games」のオリジナル作品なのである。こんなことはいいたくないのだが、それが本であれ映画であれ、「Hunger Games」は「バトル・ロワイアル」に比べたらすべての点で取るに足らない作品である。(今、自分でもかなり主観的な意見を述べているのは理解してしているが、これは私のレビューであり、故に私のつたない意見を載せる権利が私にはある)
ストーリー:10/10
ストーリーの展開は、高見広春によって書かれた原作小説と関係しているが、漫画では小説よりも一人ひとりの背景を深く掘り下げることに成功している。
この漫画のストーリー進行は非常に早い反面、話の展開が理解できないほど早すぎるわけでもない。読者は苦痛なく物語を追える速度で進行し、その流れが不必要なシーンによって中断されることもない。
「バトル・ロワイアル」は、可愛い(kawaii)」漫画が主流になっている現在において、そこにはない魅力が詰まっている。
現在の漫画家の大多数は、「軽く」そして「ふわふわしたもの」を好む読者に向けて漫画を描いているようだが、そこには読者の既に柔らかくなった脳みそを揺さぶってくれるようなものや、自分の住んでいるこの世界がどうなっているのかなどについて深く考えるキッカケを与えてくれるものはない。
「バトル・ロワイアル」は我々が現在住んでいる現実の世界に対して目を開かせてくれる。しかしながら、虐待、ネグレクト、ホームレス、傷ついた人びと、売春、精神障害者があふれる、この世界の残酷さを認めるのは耐え難いものである。そして、その変わらない現実と政府の国を管理する能力に疑問をもったりもする。
「バトル・ロワイアル」を読んだあと、あなたはこの漫画を通して1つのことを学ぶ。それは人間の本質とは、かくも脆くまた変化するものであるということである。「殺すか殺されるか」という極限状態では、かつて友人だった人物は、この地獄を抜け出すための道具になってしまう。そして、あなたは、世の中には大切に守らなければいけないものと犠牲にしなければいけないものの存在に気付かされる。
この物語に登場する全てのキャラクターは、この漫画で輝く瞬間があり、この42人の生徒全員の内面とそのバックグラウンドを掘り起こしている。それによって登場人物全員がまるで実際に生きている人間であるかのように感じられるのである。それが我々読者に、彼らの行動の背後にある理由を探る機会を与えてくれる。また普通の10代の子どもの心情が非常にしっかりと描写されている。他にこれほどリアルな描写をしている漫画があっただろうかと考えてしまうほどである。
画:10/10
「バトル・ロワイアル」の画風はとても現実的なものである。目は自然な形であり、顔は変に歪んだ形をしている人も見受けられるが、それが逆にリアリティを与えてくれている。
みんなそれぞれ個性を反映したような特徴を持っており、そこに変な※ファンサービスはない。これこそが私が「バトル・ロワイアル」を愛する理由である。
※ファンサービス(fan service)って海外だとほぼエロシーンのことを指す用語なんだけど、なぜエロシーンあふれるこの漫画でファンサービスはないと言い切ったのかはわかりません。もしかしたらこのエロシーンは全部物語を作る上で必然性があると言いたかったのかも。
その作画の質を言うと、作画を担当する田口雅之の画は精緻で非の打ち所もないことは今さら言うまでもないだろう。もしこの漫画の画を彼が描いていないとしたら、こんなにも素晴らしくまた人気の漫画になっていなかったと思う。彼がキャラクターに生命を吹き込みことで、キャラクターがまるで普通にいる人間であるかのように感じられ、それでいてどこかユニークな個性も併せ持つキャラクターが生まれたのだ。
もし、あなたが「進撃の巨人」における表情の変化を極端な表現だと考えているなら、新井田和志が彼のクラスメートである千草貴子をレイプし殺そうとしている場面における彼の表情を見たことがないに違いない。
作画担当の田口雅之は、キャラクターの痛み、怒り、自暴自棄、悲しみといった表情をほんの少しの幸せと希望を混じえながら描き出す。というのは、極限状態の暴力が吹き荒れるこの漫画であっても、七原秋也と中川典子が再会するシーンなどを通じて読者にどんな絶望の中にあっても必ずそこに希望があると信じさせるのである。
そして、今更であるがこの漫画は残虐と暴力そして性的な描写で有名な漫画である。私は今まで多くの流血シーンや暴力シーン、例えば「デッドマン・ワンダーランド」のような漫画を見てきたが、「バトル・ロワイアル」ほど明確かつ圧倒的な残酷シーンがあった漫画はなかったと言わなければいけない。これを見たあとだと「デッドマン・ワンダーランド」などは子供だましに感じてしまうほどである。
銃の撃ち合いなどにおいて、脳漿をぶちまけながら銃弾が頭を貫いていくシーンの描写などはリアリティがありすぎて吐き気を催す人がいるかもしれない。また、血の滴る音が聞こえたり、血の匂い、鉄の匂いなどを感じてしまい気分が悪くなる人もいるかもしれない。内蔵をぶちまけたりするシーンは時に過激すぎるところがある。
悪いところと言えば、登場人物たちは14、15歳の子供の設定なのに20代前半ぐらいに見えるところか。でも、まあ欠点のない漫画なんてないし気にするほどでもない。
キャラクター:10/10
この漫画はいくつかの小さいストーリーで成り立っており、そこでは様々な登場人物がそれぞれ主人公として活躍する。ストーリーは独立して成り立っており、そこではその時の主役となる登場人物の視点からストーリーが語られる。これにより絶えず新鮮なストーリーが提供され、15巻につづく漫画であってもダラダラと惰性で続くようなストーリーは一切ない(ここは強調しておきたい)。
主人公たちを紹介する
七原秋也-音楽で成功すること、そして次世代の「エルビス・プレスリー」になることを夢見る典型的な10代の少年である。彼は声が非常に大きく、しばしば川田章吾からそのことで怒られる。簡単に人を信じすぎてしまう欠点があるが、クラス全員をこの地獄から救いたいと願っているような善良な心の持ち主である。だが、彼のそうした態度(みんながこのゲームにのらないようにもがき苦しんでいる様など)は時に鬱陶しくも感じる。彼は涙もろい一面があるもののたくましく強いキャラクターである。
中川典子と川田章吾は、七原秋也と共にする仲間であり、彼の支えであると言ってもいいかもしれない。
川田は私のお気に入りのキャラクターであり、前回バトル・ロワイアルの優勝者でもある。彼の現実的な思考に七原はいつも面食らっている。だがもし川田のたくましさと賢い頭脳がなければ、七原も七原のままではいられなかったろう。川田は七原に、優先事項、そして最も大事なものはなにかを問いかけることで、七原は中川典子を全力で守らなければいけないことを胸に刻むのである。
三村信史もお気に入りの1人だ。バスケットボールの天才であり、女の子にモテモテで憧れの的でありながら、それだけでなくとてつもなく頭が良くて、他人にへの気遣いもできる人間である。
彼のこのゲームに対する反抗として選んだ悪巧みの計画がこの漫画で私の一番のお気に入りである。彼が死んでしまうの本当に残念だった。
杉村弘樹も存在感のある準主役である。彼は三村信史、七原秋也と友人であるが、杉村はこの2人と違って社交的ではなく、格闘技を習っていて、自然を大切にするところが彼の存在をユニークなものにしている。
次に敵対者の紹介をしよう。
桐山和雄-このゲームで何人もの人間をためらいなく殺してきた冷酷な殺人鬼である。桐山はこの漫画で決してしゃべらないのだが、その性格は彼の行動を通して明らかになっていく。映画では彼は転校生だったが、漫画では不良のリーダーであり、彼は目にしたものをなんでも身につけてしまうというとんでもない天才として登場する。彼の過去は最後になってようやく明らかになる。
魅力的な敵対者も存在する。相馬光子がそうである。彼女は自分の身体を見せつけるのが大好きな女である。こども時代の虐待が彼女を複雑な性格に作り上げ、それが彼女の攻撃的で他人を操ろうとする今の性格へとつながっているのである。漫画では、彼女の最後の話は、今までで最も性表現が露骨になる場面である。
総合点 10/10
今のままで完璧であり、なにか不足なものやこうしたほうがいいと思うところもない。
この漫画があなたを感情のジェットコースターに乗せてくれるのは間違いない。
この漫画は、法の抜け穴が蔓延し、ずる賢いものが生き残るこの現代社会において、とても多くの人間を感動させる美徳とも言うべき長所を多く含んでいる。
真実の愛とはなにか?信頼とはなにか?人間を信じるとはどういうことか?希望はただの戯言なのか?他人のために自分を犠牲にする人間は英雄なのか、それともただのバカなのか?
もしこれらの疑問の答えを知りたいなら、「バトル・ロワイアル」を読むしかない。この漫画はそれぐらい人の価値観を変えてしまうすごい漫画である。
レビュアー 4人目(国:UK? 性別:不明) 8/10点
こんなものはゴミに違いない。「バトル・ロワイアル」について何かを聞いた時いつも私はそう思っていた。一向にアニメ化される気配はないし、多分つまらない話なんだろうなと漠然と考えていたのである。当時この漫画のことをよく知らないまま過ごしたのはこれが理由である。
しかしその後、バトル・ロワイアルの内容を知り、レイプに巻き込まれたり、義父に虐待されたことをきっかけに人を殺すことにためらいがなくなったサイコな少女がいることを知った今となってはこれを忠実にアニメ化できるのか疑わしいと思うようになった。
一度「バトル・ロワイアル」の概要を読んでみて、そして、その高評価を見て納得した。それは思っていたものとは違うようだったし、また実際に今まで出会った漫画とは明らかに何かが違っていた。
「バトル・ロワイアル」は私が漫画を買う前に期待していた全てが、自主規制のようなことをされることなく、詳細に描かれていた。ここには多くの死があり、誰もが踏み入れたくないが、一方で覗き見してみたい異常な設定の世界観があった。
このバトル・ロワイアルでは、クラス42人に生き残るチャンスがあるが、そのチャンスは友人を殺さなければ得られない。私は絶対にこんなゲームに参加したくはないが、もし参加することになったらどんな行動を取るだろうか想像もつかない。
この世界は、無法地帯と化した恐怖と欲望だけが支配する人間の行動を暗い感じだが精緻な絵で描いていく。私は、この極限状態の中で人間がどのように行動するのかそのストーリーが読みたくて、また昨今の萌えアニメでは埋められない満足感を得るために、この漫画を読んでいる。多くの部分でこの「バトル・ロワイアル」は私には完璧な漫画なのである。
ストーリーはゲームの対象となった14-15歳の生徒42人がバスに乗っているところから始まる。彼らはみんな修学旅行に向かっていると思っており、そこでは10代の子がそうするように楽しく会話し笑っている。それから、彼らは皆催眠ガスによって眠りに落ちる。気づくと全員教室におり、自分の机に座っている。首にはなにかのリングが巻かれている。彼ら全員が目を覚ますと、ある男が自分はこのクラスの新しい教師の嘉門米美であると告げ、このクラスが「プログラム」に選ばれたと告げる。このプログラム(つまりバトル・ロワイアル)は毎年中学3年生のあるクラスを対象に行われる隔離された場所での殺し合いである(今回の話は隔離された孤島で行われる)。殺し合わなければ首輪が爆破し全員死ぬ。また禁止された地域に入っても同様に死ぬことになる。
第一巻はこの嘉門のおかげで素晴らしいものになっている。彼はにこやかにルールを説明し、本当の担任だった先生の死体を見せつける(ちなみにこの先生は開始時にバスに乗っていた)。彼はこのプログラムに生徒を参加させることに反対したために殺されたのだ。また嘉門がルールを説明している時に喋っていたために女生徒が1人殺されることになるのだが、これは嘉門が生徒の命を全く気にかけていないことを示す1つの例だろう。
彼は、この孤島で殺し合いをさせるためにバッグを1人につき1つずつ渡して生徒を学校から送り出す。このバッグにはランダムに武器が1つ入っており、その他に地図と時計、コンパス、水、パンなどが入っている。嘉門は逃げようとして無理に首輪を外そうとすれば爆発することを伝え、また孤島の周りには脱走を監視する船が周りにおり見つけ次第射殺することを伝える。彼は生徒たちに考える間も与えることなく、もし最後の1人に残れなければ数日間のうちに死んでしまうことが確実な荒野に放り出す。
生き残れるのは1人だけという状況かつ他者と殺し合わなければならない状況では信頼関係を築くことは難しい。もしあなたがこのクラスの1人だったら、ほとんど友達ができないだろうし、その数少ない友達の中で本当に信頼できる友達は数人だけになるだろう。このような状況では、1人でいる恐怖が多数の殺人を産んでしまうと思うし、日常では普通に会話している友人たちでさえ信頼できなくなるぐらい被害妄想が強くなってしまうだろう。死か友情かの二択を突きつけられた時、人間の本性が現れる。
「バトル・ロワイアル」の特徴を挙げるならそれはやり過ぎなまでの過剰な表現だろう。この漫画では人は狂うと口からよだれを垂らし、目は大きく見開かれ、内股になって膝を曲げいわゆる「ゾンビウォーク」になり、それは人間というよりは動物に近い動きになる。こうした極限状態の感情の動きを描くこの漫画家の才能は、この絶望と死があふれる「バトル・ロワイアル」においてかなりプラスに働いている。その他にも脳漿や内臓をぶちまけたり、胸や性器を晒したりとやりすぎるところもあるが、しかし、これは全てストーリー上必要なものなのである。またこれを見た後だと、なぜこの漫画がアニメ化されなかったのかがわかる。
個人的に、このようなやりすぎな画よりもっと現実的な画のほうが好みではあるのだが、一方で、この漫画はアクションの動きなどが非常にわかりやすいという良い点もある。これは今まで読んだ漫画ではありえなかったことだった。私はいつも漫画を読むときその流れを理解するために何度も読み返さなければいけないのだが、この漫画ではその必要はなかったのだ。
このやり過ぎという部分はストーリーにも言及できる。まだ小説版を全部読んでいないので、この時点ではこのやり過ぎた部分が小説に基づいたものなのかどうかまでは言うことはできないが、小説版ではわりと狂気は抑えめに描写されていたのに対して、漫画版のストーリーは真剣に受け取ることができないほどやり過ぎている。私がどのシーンについて言っているのかというと、とある男が、ターミネーターになりたがっている桐山和雄と呼ばれる男から逃げているシーンである。逃げている男は銃を撃たれ腸をぶら下げながら倉庫に入りこむ。倉庫内で彼は桐山和雄が来る前に以前から組み立てていた爆弾をセットしなければならない。同時に粘着テープで腸が飛び出さないように腹をぐるぐる巻きにする。その後なんとか爆弾をセットし、桐山和雄めがけてそれを蹴り飛ばすと同時に窓を破って倉庫から脱出する。そして爆弾が爆発し、倉庫が燃え上がる。だが桐山和雄は無傷で爆発した倉庫から抜け出しありったけの弾丸を爆弾を投げつけた男に御見舞する。しかし、その後でさえ、撃たれた男はハンドガンを拾って桐山和雄を撃とうする余力が残っていたりもする。
結局なにが言いたいかというと、この「バトル・ロワイアル」を称賛したい一方で、この現実離れした馬鹿げたストーリーをどう評価していいのかわからない部分もあるのである。
他にもいくつか問題がある。このバトル・ロワイアルの主人公である七原秋也こそが大きな問題である。この漫画家が時にバトル・ロワイアルをいわゆるメロドラマ風味の鬱陶しいものに仕上げてしまったところがある。ナルトのように回想シーンを必要以上に見せる必要はないと言いたい。そして、この七原秋也であるが、彼は頭で考えるより先に行動してしまうタイプの品行方正の良い子ちゃんで、学生生活を送っているときにもよくいじめられっ子を助けたりしていた。漫画家は、七原秋也のキャラ付けとしてこの点を強調することに決めたようだ。つまり少年漫画の主人公のように直情的で時に愚かな行動を起こしながらも皆に愛されるようなキャラクターを作りたかったようだ。
この七原秋也においてはその回想シーンも多くまた死んだキャラクターとの夢の中で会話といった要素も多く、このバトル・ロワイアルを無駄に長いものにしている。また死んだキャラクターに七原秋也を語らせることでキャラクターの掘り下げを行うやり方も嫌いである。
私が七原秋也を嫌いなのはまず彼が馬鹿な振る舞いをするということと、やってることが基本的に同じことの繰り返しなので、これらを削除すればもっとスッキリ話が収まったし15巻も必要なかったと思うからである。
まだ少しだけ愚痴が続いてしまうが、ストーリーの進行スピードは完璧とは言い難い、バトル・ロワイアルのストーリーは現実の日数で言うと数日しか経っていないが、巻数は15巻もある。ちょっと計算すると私がなにを言いたいのかわかる人もいるかもしれない。話数が多いのに時間はそこまで経っていない。登場人物の数を考えたらそこまでおかしくないだろうと思う人もいるだろうが、私はこのバトル・ロワイアルはダラダラ無駄に引き伸ばされており、もっと短くまとめられただろうと思うのである。
これは登場人物の死ぬ前に回想シーンを入れることでキャラクターの掘り下げをしていることを無駄だと言いたいわけではない。ただ同じような会話を何度も繰り返されるとうんざりするのである。
七原秋也、中川典子と合流することになった知識が豊富な経験者川田章吾はあらゆる会話のなかで生き残るためにはこのゲームを好む好まざるにかかわらず敵を殺さなければいけないことを指摘しているが、実際そうした会話が何度も繰り返されるとうんざりして退屈になってくるのである。
誤解しないでほしいのは、このストーリー進行がパーフェクトではないというだけで、酷い出来だと言っているわけではない。漫画を読んでいてもう少しうまく話をまとめられたのではないかと思うのである。個人的に、もしそうなっていたらさらに楽しめる漫画になっていただろうと言いたいだけだし、この漫画が本当に酷い出来だったら苦しんで読むことになっていた、つまり、途中で読むのをやめていただろう。
もうひとつ言いたいことがある。エンディングについてだが、これは上に述べた進行スピードと関連するのだが、基本的にストーリーというのはエンディングで失望して終わるパターンが多い。たとえどんなに才能がある書き手でも、最後を綺麗に終わらせるために苦しむものなのだ。バトル・ロワイアルにおいてもそれは変わらない。このエンディングは思っていたよりも悪いものではなかった。いくつか気の利いた工夫がありそれが読者の興味を保ち続けていたところがある。だがさらに良いエンディングがあったようにも思うのである。
ラストバトルにおけるもっともヤバい敵はカーチェイスの後に頭に銃弾を打ち込まれても、まだ死なず、普通の人が思う高校生(注:本当は中学生)同士の戦いからはかけ離れていたといえる。これでは彼を殺すのはほとんど不可能に見えてしまいやり過ぎである。そして、このバトルの最後は考えうる最も退屈な方法で終了した、この感情のなく無慈悲に多くのクラスメートを殺してきた最後の敵に勝つ手段が見つからず、七原秋也は死んだ仲間の幻影に1話以上に渡って励まされ、その最後の大詰めで、気の利いた仕掛けによってこのバトルは終わる。そして、最後に本当のエンディングともいえるプログラム終了後に大仕掛けがありこの漫画は終了する。
これは私にとって決して最高の終わり方ではなかったし、とてもガッカリさせられた。私は最初、全員最後は死ぬと考えていたので、あの最後の大仕掛けがないほうがもっと良いエンディングだったのではないかと思うのである。
最後に言及しなければいけない欠点が1つある。それは実際のストーリーとはなんら関係なく、英語の翻訳が酷い出来だということである。あらゆるところで翻訳ミスが目立つ。セリフが正しく翻訳されなかったり、単純に英文が意味をなしていないものも何個かあった。またFワード(注:fuckなどの汚い言葉)が乱用されているのも気になる。それはまるでこれがR-18の漫画であることを確信させるために乱用しているかのようだ。優しく礼儀正しいキャラクターまで頻繁に 「F*** a duck」(注:コンチキショーみたいな意味)と叫ぶのでどうも違和感が残る。
まあこれに関してはあなたがこれをどう評価するかでプラスにもマイナスにもなるだろう。マナーの悪い言葉使いをするキャラクターは何人かいるが、公平に見て学校に通う子供はこういうマナーの悪い言葉を使うし、理解できない言葉を使ったりもする。翻訳はストーリー全体を台無しにするほど大きな問題ではない。ただちょっといらだたせるだけである。でもまだより良い翻訳が出て欲しいとも思っている。
だが、とにかくもうネガティブな部分は語らなくていいだろう。この漫画には悪い部分よりも良い部分のほうがはるかにある。確かに内容はやり過ぎだし、その進行スピードは素晴らしいというわけでもない、そして時に、七原秋也の回想シーンと彼が見る幻想によってわざとらしいメロドラマの展開がある。しかしながら、それ以外にもこの絶望的な状況で、様々なキャラクターが様々な現実的な方法で互いに協力しあっている姿も描いており、上記の欠点をもってこの作品を貶めることは不可能である。この漫画には個性あふれるキャラクターが多くおり、その一人ひとりが、他人には真似出来ないスキルを持っていたりもする。それは、この多くの登場人物のなかであなたが真に感情移入できるキャラクターがいるということを意味する。なかにはどう見てもこんなやついないだろって思うキャラクターも何人かいるが、そういうキャラクターにもちゃんと現実的な背景が用意されている。いつも言っていることだが、読者を泣かせる話には必ず素晴らしいキャラクターがいるものだ。女生徒が幼馴染の手の中で死んでいったストーリーを読んだ時は私も涙を流した。なぜならそのストーリーのもっていきかたがものすごく美しかったからだ。彼女の子供時代、そして、学生時代の回想シーンを見て、そして、レイプされそうになりつつも懸命に抗い戦っていた彼女の最後の死に様を見てなにも感じないとしたらそれはとても冷血な人間だと思う。
その他にも記憶に残る場面が多くある。例として2つ挙げる。
1つ目は、灯台で生活している6人の女の子同士が、誰かが料理に毒を盛ったことで互いに協力する関係から疑惑を持ち始め最後には信頼関係が崩壊するシーンである。それはこの状況において疑惑を持つということがどのような結果になるかということを鮮やかに描き出した。
2つ目は、心優しい格闘技の達人杉村弘樹と感情の消失したソシオパス桐山和雄の対決である。この戦いはそれ自体も素晴らしいのだが、その前の杉村と彼が片思いし守らなければいけないと心に誓っている女生徒との3話ぐらいに渡る会話がこの戦いを盛り上げる。
このようにバトル・ロワイアルには登場人物が多くおり、この他にもこうした短いが心に残るシーンがたくさんあり、悲劇が不足することはない。私たちは心を最も揺さぶられる瞬間というのは人の死であることを知っている。あなたがこの漫画を読めば私がこの漫画を素晴らしいと言っていることの意味が理解できるだろう。メインのストーリーだけでなく、今紹介したようなショートストーリーも楽しんでほしい。必ず心の琴線に触れるストーリーに出会うことができるはずだ。
で、総合的な評価をどうつけるべきだろうか?うん、30ポンドは払う価値のある漫画である。人はなにか素晴らしい体験をしている時というのは、時間が経つのを早く感じるものであることはみんな知っていると思う。そして、実際にその体験を私はこのバトル・ロワイアル読んでいて体験した。私はこの漫画が届いた日に6冊読み、その次の日に4冊、またその次に5冊を読み切った。この長時間の読書の間、苦痛に感じるところは一切なかった。私はこの漫画を完璧だと言うつもりはないし、実際上で述べたように完璧ではない。だが現在において、このダークで重苦しいストーリーでこれよりよいストーリーがある本というのはそれほど多くはないと思う。もしあなたがこの1クラスが孤島で殺し合うという設定を面白そうだと感じたなら、読んでみるのもいいだろう。多くの死に耐えられるならあなたはこれをすごく楽しめると思う。
評価 8.5/10点

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