どうもカゲロウです。


今日は手塚治虫の名作「アドルフに告ぐ」に対する外国人のレビューを翻訳していきたいと思います。この漫画は第二次大戦という歴史的な部分を取り扱っており、また「ヒトラー」という欧米でのタブーを取り扱っていることから、個人的にも興味深いテーマだったので、いつも以上に英語の勉強がはかどりました。

今回は長文のため、翻訳元の英文を全部載せると煩わしいと感じたので載せるのをやめました。
また、長文の場合、ブログ主の英語力の問題で必ずどこかで翻訳につまづいてしまうところがでてきますが、そういう部分は前後の流れから判断して翻訳を行いましたので、その点についてはご了承ください。

アドルフに告ぐ 手塚治虫文庫全集(1)
参照元:https://goo.gl/WKRT6A






レビュアー 1人目(国:ブルガリア 性別:男性) 9/10点

「アドルフに告ぐ」は、手塚治虫、いわゆる「漫画の神様」と言われる男の残した偉大な作品のひとつであり、隠れた名作であるともいえる。

ストーリー:この漫画は、アドルフと呼ばれる3人の男の話である。彼らの人生を追いながら、人間が年月経るにつき肉体的、精神的にどのように変化していくのかを描写していく。
そのストーリーに「新しい」また「独創的」というようなものを感じることはないが、いったんこの漫画を読み始めたら、読者は全体のストーリーを読み終えるまで目を離せなくなるだろう。ストーリーは、ヒトラーがドイツを支配していた頃とそれ以前の話を中心に展開していく。そして、全てが動き出しつつあるこの時期に、この男ヒトラーから物語はスタートする。
あらゆる登場人物は、あなたが漫画を読んだらわかるように、皆違った目的で動いている。このストーリー展開が時にゆっくりに感じるかもしれないが、手塚治虫がなぜこのようにゆっくりとストーリーを展開させることにしたのかをすぐに読者は理解することになる。

絵:絵は古いタイプだが、この漫画がリリースされた年代を考えれば、それは当然のことである。そして、古いからといってあなたがこの作品を読むのを煩わしいと感じることはない。それは悪い部分もあるかもしれないが、ストーリーを追うにつれ全くそのことは気にならなくなる。
あなたがどうしてもこの絵を受け入れられないと言うなら、読まないという決断をするのは自由だ。

登場人物:ここの部分が「アドルフに告ぐ」における最も面白い部分だと思う。登場人物は脇役でさえ、ストーリー全体を通してその成長と発展が見られる。そこに住む人びとは様々な意見を持っていて、その心も行動もいろんな人びとや外的要因に影響され決定されていくことがわかる。
ときに残酷であったり、ときに人生を懸けて理想を追いかけ、またときに死に相対したときでさえ勇敢であったりするものもいる。こうした部分に触れれば、間違いなくこの漫画を読んでがっかりすることはない。

面白さ:私はこの漫画を本当にとても楽しめた。そして、あなたにも楽しんで欲しいと思っている。しかし、あなたがヒトラーと第二次大戦について手塚治虫と別の見方を持っていた場合、もしかしたらこの漫画を楽しめないかもしれない。手塚治虫はこの漫画でヒトラーに対する自身の考えを表現しており、それがある人達の気分を害することになるかもしれないからである。

総合的な評価:この漫画は本当に面白い。読んで損はない。手塚作品の中でも良いものの1つに挙げられるオススメのマンガだ。本当に楽しめたし読んで時間を無駄にしたとは決して感じなかった。


レビュアー2人目(国:アメリカ 性別:不明) 10/10点

この話はアドルフと名付けられた3人の男たちの話である。これは無意識から湧いてきたような壮大な歴史の作り話のようなものであり、ある日本人の視点から語られる。このストーリーのオープニングは、1930年代初頭、神戸に住む2人のアドルフと名付けられた子供達から始まる。2人はドイツの海外在住グループの一環として生活している。1人はパン屋を営むユダヤ人の子供であり、もう1人はナチス外交官の息子である。
この2人の関係は、偶然と呼ぶにはあまりに深く互いの生活に絡んでおり不自然なほどである。だが、彼らは悲劇の足音が忍び寄る中、最後まで有機的に結びついてその人間関係を演じきる。

これは二度目にまた読み直すと更なる悲しみが襲ってくる(三度目以上でも)。(二度目に読み返しても)不穏な空気を感じ読んでいて落ち着かない気持ちになるのだが、それは最終的に避けられない悲劇が存在することがわかっているからだ。こうした感情が湧くのは、このストーリーテリングがとても優秀だからであるに他ならない。例えあなたが何度この漫画を読むことになってもこうした感情が湧くのは抑えがたい。そして、毎回読み直すたびに違った物の見方をしていることに気づく。
読者が歴史を知るにつれ、劇的な皮肉が鮮やかに起こる仕掛けになっている。これは文学史上における最高傑作である。巧みに構想が練られつつも、目的もないような漠然とした感覚によって全てが決定づけられていく。私は毎回、手塚治虫の描く物の見方の明快さに打ちのめされる。これは驚くべき反戦漫画なのである。
つまり、日本軍とナチス政権への冷徹な批判である。しかしそれだけでなくあらゆる国の残虐行為を批判する。(第二次大戦へ参加した)あらゆる国は全員想像を絶する暴力の加害者なのである。満州侵攻は今日においても日本の教科書では軽く扱われれている(アメリカもまた同様にこの種の歴史の検閲をしてきたという点で有罪である)。だが、この漫画はストーリーを通じてこのような議論をオープンに展開した。アメリカ人は神戸への爆撃を行なった(当時日本の多くの家屋が木造であったことを思い出して欲しい)。それはロンドン大空襲や原爆投下と同様に残虐な行為なのである。真珠湾にあった艦隊は日本軍への撒き餌として用意させられ、そこにいた船員たちはそこで死ぬためになにも知らされずに放置された。ロシア軍はベルリンにおいて復讐のためにレイプと略奪を何の咎めもなく行なった。戦争というものの大部分がそうであるように、その始まりからどうすることもできない状況に置かれた人たちというのは、ただ黙って生き残ろうと試みるだけである。ユダヤ人はナチスによって迫害を受けたが、その後、同じぐらい冷酷にパレスチナ人を迫害している。そしてまたパレスチナ人も同じように無慈悲にイスラエルの市民を攻撃している。

アドルフ・カウフマンは、自身がヒトラー・ユーゲントの学校に入れられたら、ユダヤ人を嫌いになるように洗脳されてしまうことを予知しており、そのために学校には行きたくない(なぜなら彼の親友がユダヤ人だから)という意識をしっかりと手塚治虫が描写していることに心を打たれた。だが、ドイツの学校に行けば洗脳されることを知ってもなお、ナチスのイデオロギーに染まってしまうのである。これはこの漫画において最も衝撃的なシーンである。そして文学作品の場合、このような誠実な調査は行わず無視しがちである。通常、我々はイデオロギーが注入されることをわかっていれば、それだけでその効果を防止するには十分であると思いがちであるが、実際はそうでもないようだ。

性差別と人種差別の話は脇へ置いておいて(彼の作品にはそうしたテーマの作品がたくさんあるが)、手塚治虫は、彼の時代においてトップを走っていた漫画家であった。私はこの「アドルフに告ぐ」を他の彼の作品とともに覚えておいてくれるように、これを読んでいる皆さんにお願いしたい。
そして、この作品が昔のまま再版されるようになったことがとても嬉しい。もし当時は問題なかったこの才気あふれる作家の何気ない偏見が、今になって問題だからといって、この作品に検閲がなされるようなことがあれば、それが現代の読者にとって口当たりの良いものに変化させることが目的であったとしても、(手塚治虫が作品を描いてた)当時はどのような偏見がどのくらい当たり前のものとして実際に広まっていたのかの記録を消してしまうことにもなり、真の平等主義を目指す人たちにさえ凝り固まった考えを植え付けることになってしまう。
1980年代後半でも、まだこうした作品は作ることは勇気がいることだったが、今年(2013年)、宮崎駿が反帝国主義をテーマに戦争中の日本を舞台にした最新作の映画が公開される。

手塚治虫は食事シーンを通じてヒトラーがタバコや酒、薬などのあらゆる刺激物を控える男であるとほのめかすシーンを描いたが、あのシーンはとても興味深い。ここアメリカの大衆文化におけるヒトラーの描写は、初期こそベジタリアンだったが、後期は薬物中毒者であると描かれていた。80年代の日本人にとってヒトラーがそういう人物であると考えるのが普通であったのかどうかについてはわからないが、手塚治虫はヒトラーの偽善性を描いていたのかもしれない。

総合的に評価すると、この「アドルフに告ぐ」はとてもおすすめできる漫画だ。あなたが普段漫画や(欧米の)コミックを読まないような人であってもである。純粋にストーリーが良い。また「アドルフに告ぐ」を読んだ後は、グラフィック・ノベル(注:アメリカにある大人向けのコミック)にも小説のように含みをもたせた力強いストーリーが今後でてくるのではないかとそうしたポテンシャルを感じさせてくる。


レビュアー3人目(国:不明 性別:不明) 10/10点

この「アドルフに告ぐ」は今まで読んだ手塚作品の中で最も素晴らしい作品だと思う。「来るべき世界」「メトロポリス」「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「火の鳥」などたくさんの素晴らしい作品があるが、その中でもとりわけこの「アドルフに告ぐ」は人の心を掴む作品だ。

ストーリーは、第二次大戦におけるシリアスで暗い雰囲気の話に突き進むだけでなく、心温まるドラマを展開することもあり、この世界における両方の面を魅せている。手塚治虫はこの作品を描く時、あえて普通の漫画家なら触れるようなことはないであろう要素をこの漫画で描いたという点で勇敢であったといえる。この作品を作るにあたり手塚治虫は限界を超えていつも以上に真剣に描いてたと思うが、それでもなお作品内にユーモアを取り入れ、読者が楽しく読み続けるようにする努力を怠らなかった。それにより読者は最後まで気を抜かず心地よい緊張感をキープできたのだろう。

他の手塚作品と同様に、このアートスタイルはごまかしが効かない。手塚作品を一度でも読み始めたら読み終えたくないと思うだろう。彼の作品には読み終わった後、更に読みたいと懇願したくなるような作品が多い。


レビュアー4人目(国:不明 性別:女性) 8/10点

私は昔から歴史創作物の大ファンです。この漫画は第二次大戦を通じてドイツ人、ユダヤ人、日本人が乗り越えてこなければならなかった幾多の試練を描いているすごい漫画です。
善悪が混ざり合い、宗教と人種を理由に人びとが殺されていく。みな悪い人間を怒らせることで命の危険に晒されることを恐れている。歴史ドラマは本当にいつも見ててワクワクします。でも同時に、恐ろしいホロコーストの部分になると、読者は人種をひとつ丸ごと消すという行為がどのくらい世界を閉じていく行為なのかを思い起こさせ現実的な気持ちにさせます。

「アドルフに告ぐ」はとても力強く、人を惹き付けるプロットを持っています。ここには3人の主人公がおり。その3人が互いに切り替わりながら、またある時には主人公同士が出会いながら、それぞれ独自の問題を解決するために動いていく。つまり、もしそのうち誰か1人でも嫌いになってしまったら、あなたはこの漫画を永遠に読むことはできないと思う。

現在の私の知識では、この漫画がどれほど正確であるのかわからない。だが、私が知っているわずかな情報では、漫画の終わりらへんでは歴史的事実とは大きく異なる記述があるようです。けど私はそれについて特に言及しません。それ以外については、この漫画家は日本とドイツの戦時下における描写をしたという点で素晴らしい仕事をしたと思っている。彼は、当時の日本、ドイツの文化的習慣、男女の役割に細心の注意を払いつつそれを漫画に描き、そして、極めて優れた作品を作り上げたのである。

欠点を1つ挙げるなら、恋愛についてでしょうか。(このサイト(MyAnimeList)における作品のジャンル分けとして)この漫画には恋愛タグがついていません。確かにほとんど恋愛についてなかったのも事実ですが、一目惚れのたぐいのようなものの一応恋愛の要素もありました。

この漫画には、多数の登場人物がおり、そして人物が目まぐるしく入れ替わる。全員とても素晴らしい人物であり、それぞれ独特の個性と特徴を持っています。1人として退屈な人物はいない。現実の人間がそうであるように、彼らは皆なんらかの考え持ち、独特の思想を持っている。完璧な人間はそこにはいない。もちろん、そうすることでより彼らが現実の人間であるかのように思えてきます。

ところで、演説において、大げさな身振り手振りを交えながら情熱的に声を張り上げる人物としてよく知られているヒトラーについてですが、たとえ漫画を読んでいてヒトラーの声が聞こえないにしても、漫画のコマから飛びしてきそうになるほど、大きく口を開けつばを飛ばし激昂している手塚治虫のヒトラーの描き方が大好きです。多分、実際のヒトラーもそんな感じだったのではないかと想像してしまいます。

これは古い漫画なので、コマ割りは長方形で、登場人物は欧米に出て来る漫画っぽい感じです。手塚治虫が漫画を描いていた当時はこれが良い絵だったのでしょう。だから文句を言うつもりはありません。そして、個人的に建物の描写などは今見ても本当に素晴らしいです。
あと、この漫画には、戦争の怪我や拳での喧嘩による流血や暴力シーンがあります。私から見ると、これは欧米の漫画における無修正の暴力シーンのように見えます。その他の面では、服装はとても細かに描かれ、また顔の特徴も滑らかです。嫌いになる部分などはありません。

真珠湾の件について以外は、この漫画によって日本人がどの国と同盟を結ぶべきかについて悪戦苦闘していたことを知りました。この戦争への参加を決断した国は多いですが、私はそうした国の中に日本人とドイツ人のハーフであることを理由にもがいている人がいることなど今まで考えたこともありませんでした。

※真珠湾の件とは、この漫画の作中にあるアメリカは真珠湾攻撃を知りながらもハワイの連合艦隊にはそれを知らせずに放置したって部分のことを言っているのだと思います。
実際にアメリカ人に聞いたわけではないですけどネット上の情報だとアメリカでもこの説には賛否両論あるようですね。
文脈からこの人は真珠湾攻撃をアメリカが知っていたって部分には納得していないのだと思います。


多少政治色があり歴史について(とりわけホロコーストの歴史について)語った漫画の世界に飛び込みたいと思う人たちには、「アドルフに告ぐ」は良い漫画だと思います。数十年前の漫画でありますが、歴史を実際に目撃した者達の視点から歴史がうまく描写がされていると思う(全てが正しいとは言えませんが)。
読者は話が進むにつれ心から登場人物の安全や希望を気にかけるようになる。これはある意味で、どれだけ第二次大戦が酷い結果を起こしたのかを知るための最高の描き方になるのではないかと思う。それゆえに、私はこの漫画に10点中8点をつけます。


おわりに

本当は「(第三期)とある魔術の禁書目録IIIテレビアニメ化制作決定!(海外の反応)」や「(海外の反応)新作アニメ「バジリスク ~桜花忍法帖~」制作決定!」の記事のようにアクセス数が稼げて需要があって自分の興味あるニュースがでてくれるのが一番いいのですが、正直そうそううまくいネタが転がってくることは稀なので今後もあまり需要とかは気にせず好き勝手記事にしていきたいと思います。
ここまで読んでくれた方がいらっしゃったらありがとうございました!!